3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec 3D社製スキャナを用いたカズ・ヒロの息を呑むような特殊メイク

課題:アカデミー賞授賞歴のある特殊メイクアップアーティストに、俳優の生体彫像を行う従来のシリコン素材を基にした工程に代わる、より良い方法を講じる必要が生じた。

ソリューション:Artec Leo、Artec Space Spider、Artec Studio、及びZBrush

結果:俳優にとっては、シリコンの中に顔を埋められて二、三十分もの間、身動き一つせず座っている必要はもう無くなった。その顔や他の身体部分はLeo、並びにSpace Spiderが僅か一、二分の内に、非常に細かい皺や小さな毛穴まですべてをキャプチャしながら3Dスキャンを行う。

なぜ、Artec 3Dなのか:コンパクトで十分に持ち運び可能なArtec 3D社製スキャナであれば、従来の工法で必要であった時間に比べてわずかな間に3D印刷を行った上で造形を完璧に仕上げることができる、驚くほど実物に近い生体彫像の製作を可能とする。

Kazu Hiro

自身のスタジオで、Artec Leoを利用してモデルのジャック・キュリア(Jack Currier)をスキャンするカズ・ヒロ。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

その優れたメイクの芸術的才能で有名なカズ・ヒロは、ハリウッドのエリートたちの顔に造形を施し、銀幕上での忘れ難いキャラクターへと巧みに変身させてきた。

カズ・ヒロの手がけた映画作品には、『スキャンダル』、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『ソルト』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『メン・イン・ブラック2』、『グリンチ』などの大ヒット作がある。

ヒロの時間をかけて培われた才能は何度も評価され、複数のアカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞、英国アカデミー賞やその他の様々な栄誉に輝いている。

Kazu Hiro

3D印刷されたLeoのHDモードとSpace Spiderによるスキャンデータ。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

完璧を目指す飽くなき試みに思える目標を掲げ、ヒロは自身の特殊メイクの芸術的技能を新たな高みへと押し上げるよう絶えず努め、自身の設計及び製作ワークフローの質を向上させる新しい方法を常に模索している。

カズ・ヒロの特殊メイクとその高度な技術

何年もの間、ヒロの特殊メイク芸術の土台となっている生体彫像は身体を三次元的に複製するきめ細かい工程であり、映画産業界では登場人物のメイクアップにおいて高度なリアリズムを実現するために日常的な需要がある。

この緻密な手法は、対象となる人物を準備し、シリコンラバーなどの必要な材料を調達することから始まる。

費用が比較的手頃で、耐用性があり再利用可能な型の製作が可能といった利点にも拘らず、従来の生体彫像にはいくつかの不都合な点がある。まず、その工程は多大な時間を要する上、面倒な作業となることが多く、上手くいった場合でも不快なものとなる上、時には俳優が閉所恐怖症に陥ることもある。

更に、完成した型に歪みが生じることもあり、これは顔面上のマスクが重みで引き下げられたり、俳優が長時間座らされている間に無意識に動いたりすることが原因で起こるが、このいずれかが完成品に大きく影響することもある。

3Dスキャニングへの転換

従来の生体彫像に代わるより良い解決策を探すヒロの旅は3Dスキャニングへ、そして最終的には地域のArtec 社アンバサダーであるRapid Scan 3D社へと行き着いた。同社で、ヒロは映画産業やその他の分野で広く認められているクリス・ストロング(Chris Strong)に出会い、 ストロングはヒロにArtec Space Spiderを紹介した。

Kazu Hiro

Artec Space Spiderによるスキャニングへの準備の整った、アンダーカットを施されたシリコン製の鼻の鋳型。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

長年にわたって創作者にも技術者にも同様に愛用されているSpace Spiderは、その極めて高解像度の性能、及び驚くほどの精度で俳優の顔をカラーの3Dで細かいディテールもすべてキャプチャできる点により、CGI業務において理想的なツールになっている。

Space Spiderは、ヒロのワークフローに計り知れない変化をもたらした。ヒロは厄介で不快な従来の生体彫像の工程から解放され、リアリズムの観点からは何も犠牲にすることなく非接触性の3Dスキャニングへと切り替えることを実現させた。

眼の周りの皺や毛穴、微細な顔の輪郭の曲線のような最も小さい部類の細かいディテールのキャプチャには、ヒロは今ではSpace Spiderを頼りにしている。

俳優の頭部全体や首、身体のような比較的大きな外観部分には、ヒロはArtec Leoを利用している。その高いFPSキャプチャレート、幅広い視野、扱いやすさ、そしてワイヤレス性能により、Leoは更に広範囲のキャプチャに理想的な機器となっている上、そのHDモードは豊かなディテールの作成を可能とする。

Kazu Hiro

ディテールのキャプチャの比較:フォトグラメトリ(左)、並びにArtec Space SpiderとLeo(右)により製作されたロバート・ダウニー・ジュニア(Robert Downey Jr.)のモデル。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

3Dスキャニングの工程は僅か一、二分で完了し、従来の生体彫像で必要であった二、三十分に比較すると遥かに高速である。その上、LeoやSpace Spiderは多くの3Dスキャナとは違って完全に非接触でターゲットやマーカーも不要なため、不快さの生じる可能性も解消される。

重要なことに、この二つのスキャナはArtec Studioへシームレスに統合できる。LeoとSpace Spider双方からの複数の3Dスキャンデータはワンクリックで同じワークスペースへとインポートできるため、ヒロは俳優の顔、頭部、首や身体の最も詳細で包括的な3Dモデルを製作することができる。

Kazu Hiro

ショーン・ペン(Sean Penn)のLeoのHDモード、及びSpace Spiderによるスキャンデータの組み合わされたもの。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

Leoの携帯性と使いやすさ、及びすべての詳細に注意を払ったSpace Spiderの驚くような性能により、ロケーション撮影の際に即座にスキャンを行うことがCGI、並びに映画産業にとって現実のものとなり、ヒロの非凡な特殊メイクアップ過程において完璧な青写真としての役割を果たす、生き生きとした本物のようなデジタル複製が個々のプロジェクトすべてにもたらされる。

Rapid Scan 3D社の3Dスキャニングススペシャリストのクリス・ストロングは、「カズの作品は他に敵うものは無いほど素晴らしく、その完璧な描写への探求には同じように優れたツールが必要となるが、Artec Leoはその正確さ、使い易さ、そして携帯性により、この要求にぴったりの機器である。Leoがカズの技能に劇的な変化を与え、創作品の質を更に高めることを分かっていたので、私は確信を持って勧めた」と語る。

3Dスキャンデータを用いた本物のような特殊メイクの製作

3Dスキャンデータから特殊メイク装具を創り上げる実際の作業は、多大な労力を要する。スキャニングの後、ヒロは俳優の3Dスキャンデータを最適化して磨きをかけるための豊富なツールセットを備えた、3Dスキャンデータ処理のための革新的なソフトウェアソリューションであるArtec Studioを利用して、微細なディテールをもすべて、最も正確に描写できるように洗練していく。

ヒロはArtec Studioからその3DスキャンデータをZbrushへエクスポートし、俳優の顔や頭部、その他の身体部分の3D モデルに最後の仕上げを施した後、その生体彫像を3D印刷し、粘土で実際に整形していく。

Kazu Hiro

Zbrush上で組み合わされた、LeoのHDモード、及びSpace Spiderによるスキャンデータ。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

装具の装着は、そのものが芸術である。それぞれの作品はLeo、並びにSpace Spiderによりキャプチャされ、俳優の顔やその他の身体部分の詳細なリアリズムを基に製作されており、現実とファンタジーの境界を曖昧にさせるような継ぎ目のない状態となるよう、俳優の皮膚に慎重に装着、固定される。

Kazu Hiro

Artec LeoのHDモード、及びSpace Spiderによる首部分の型のスキャンデータを3D印刷したもの。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

撮影工程の間、ヒロはいつでも微調整や交換ができるよう、ずっと装具を監視する。Artec 3D社製のスキャナを自身のワークフローに統合することで、ヒロはテクノロジーと忍耐の必要な職人技にかつてないほどの度合いの相乗効果を与え、特殊メイク製作の芸術に改革をもたらした。

3Dスキャニングがヒロの作品へ与えた影響

ヒロは「Artec LeoとSpace Spiderは、自分の作品を大きく変化させた。このテクノロジーにより、従来の生体彫像で生じることのあった歪みや俳優の感じる不快さも発生させずに、驚くべきレベルの詳細さを実現できるようになった」と語る。

更に続けて、「この二台のスキャナは、私にとっては単なるツール以上の存在となっている。特殊メイクの『舞台』においては、真の意味で画期的である」と話す。

Kazu Hiro

LeoのHDモード、及びSpace Spiderによるスキャンデータから3D印刷されたリチャード・クリューガー(Richard Krueger、元コネチカット州アンソニア市長)の胸像。画像は、カズ・ヒロのご厚意で掲載

当産業界での前衛芸術家として、ヒロは自身の作品の未来を心待ちにしており、「Artec社が今後も3Dスキャニングテクノロジーにもたらすであろう、新たな進歩を楽しみにしている。こういった革新は限界を押し上げ続け、私のハリウッドでの特殊メイクの作品、並びに美術彫像品の質を更に高めることに繋がる」と語る。

こちらの記事をメールで送信いたしますか?

Artec 3Dから最新のオファーやアップデートの通知をいち早く受けましょう

ストーリーの背景で活躍するスキャナ

世界最高峰のポータブル3Dスキャナをお試しください。