3Dスキャンソルーション

Artec 3D社のウクライナへの支援内容

Artec Leoを使用してF3レースカーのパフォーマンスを向上させる方法

著:ジーン・コレット(Jean Colet)

課題:修士号取得プロジェクトの一環として、実用されているF3レースカーの空力特性を改善する

ソリューション:Artec Eva、Artec Studio

結果:車の3Dスキャンにより、正確なフロントウィングの開発が可能になり、車の直線速度とコーナリング速度が向上しました

Dallara F399 / 01などのレースカーは、何十年にもわたる技術の進歩からの産物です。モーター、フレーム、そして素材はすべて、モータースポーツの技術的規制に準拠しながら、パフォーマンスを向上させるために飛躍的に進歩しました。実際に何年にもわたってレースカーエンジニアリングですでに行われた、驚くべき画期的な進歩により、さらなる改善の余地はほとんどないかのように見えます。少なくとも、膨大な量の資金と時間を費やさない限り、ありえないでしょう。このことを考慮すると、もし誰かが競争に対して技術的な優位性を獲得したい場合、どのようなオプションがあるでしょうか?ウェールズ・トリニティ・セント・デイビッド大学(UWTSD)の大学院で工学生であるジョン・ヒューズ(John Hughes)さんは、このような簡単な答えを提示しました:それは、空気力学です。

「どんなに細かいことでも、得られるすべての小さな利益は、何もないよりはマシです。現時点では、この車両に最初に手掛けたころと比較して、直線速度で時速約10マイルを獲得することができました。空力開発だけで、です。」

ジョンさんは、修士号取得プロジェクトの一環として、Dallara のフロントウィングに取り組んでおり、別の空気力学の学生と2人の車の所有者と協力しています。彼らの目的は、現在英国中の会場で開催されているスプリント選手権(シーズンごとのチャンピオンシップで権威ある16のイベントのうちの1つ)で走っている車両から、より良いパフォーマンスを引き出すことです。イベントの合間に、ジョンさんと彼のチームは、スウォンジーの港のすぐ隣にある、ユニバーシティモーターショップで車の作業を行うための小さな時間枠を持っています。

 

アングルシーのサーキットでパフォーマンスする、SBDが所有するDallara F399 / 01

しばらくの間、チームは手動測定ツールを使用してF3の寸法を取得していましたが、その結果は時間がかかる上に精度が欠けていました。彼らは当然、より良い測定値をより早く取得するための、信頼できる方法が必要であるという結論に達しました。これは 3Dスキャン技術 のアイディアが彼らの視野に入った背景にありました。最初は3Dスキャンの基本的な方法を試して、作業ができるCADモデルを取得しましたが、それでも十分な精度ではありませんでした。彼らはプロの3Dスキャンソリューションについて知ったとたん、英国に本拠を置くArtec 3DのアンバサダーであるCentral Scanning社に連絡し、必要な結果が得られることを望みました。真新しい3DスキャナのArtec Leoで最初のスキャンを見た瞬間、ジョンさんは正しい決断をしたんだと確信しました。「キャプチャされたものを見ると、以前に見たものと比較して、詳細の量は他と比べ物になりませんでした。過去に生産されたものを実際に見たことがあったので、それは驚きでした」と彼は言いました。

 

ジョン・ヒューズさん(右)とCentral Scanning社のトム・ホワイト氏(左)が、Leoのタッチスクリーンで直接、Dallara のプレビューで3Dモデルを見る

Central Scanning社のニック・ゴッドフリー(Nick Godfrey)氏とトム・ホワイト (Tom White)氏は、当面のタスクを事前に分析しており、Artec Leoがその仕事に最適なツールになると結論付けました。「Leoは、中規模から大型のオブジェクトを非常に迅速にキャプチャできます。事前に準備をする必要はなく、スキャンは現場で直接行うことができます。」とニック氏は言います。「スキャナは完全に自律型です。つまり、動きを制限するケーブルやコンピューターがスキャナに接続されていないのです。他の3Dスキャンソリューションよりも簡単に、事実上すべてをキャプチャできます。

Leoには、独自の電池やスキャンをリアルタイムで表示するタッチスクリーンが搭載されており、データをメモリカードに保存して、後でコンピューターに転送することができます。トム氏は余分な器具を必要とせずに、UWTSDモーターショップでDallara をスキャンしました。車全体のスキャンにかかった総時間は2時間未満でした。スキャンデータはArtec Studioで1日で処理され、完全なCADモデルが数日後にジョンさんに送信されました。

 

Leoの携帯性により、オンサイトですばやく簡単にスキャンできます

空気力学の分野では、設計のミリ単位の変更が、長い道のりになってしまうことに注意することが重要です。Artec Leoは、毎秒300万ポイントという驚異的なデータキャプチャ率を誇り、リアルタイムの3D処理が画面に直接表示されます。ジョンさんは、車全体の形状を最高の精度でデジタルスキャンすることにより、Ansysのソフトウェアでより優れた流体力学(CFD)シミュレーションを実行できます。そして、最も現実的な3Dモデルから車の空力プロファイルを微調整するためのすべてのオプションも分析できます。

「私は通常、個々のコンポーネントのジオメトリを変更することなく、できる限り現在のコンポーネントを最適化しようとすることから始めます。たとえば、現在のフロントウィングには、フラップやウィングレットなどの複数の要素があります。そこでは、私はフラップの位置を動かすことで翼の全体的な性能が向上するかどうかについて研究するでしょうね。」とジョンさんは説明しました。「このプロセスが適切になるまでには数か月かかる場合がありますけどね。それでも、実験計画法(DoE)ソフトウェアを使用すると高速化できます。元のジオメトリが最適化されたら、CFDの結果を検討することで、元のジオメトリの開発を開始できます。この方法を使えば、製造時間とコストを節約できるので、私はできる限り元のフロントウィングを維持するように努めています。」

 

Artec Studioインターフェース内にあるDallara F399 / 01の3D点群レンダリング

Artec Studioに表示された3Dモデル(左)とキャプチャされたデータから作成されたCADモデル(右)

その分析と設計作業の後、変更された部品は、高性能スポーツに特化した炭素繊維メーカーであるFibre-Lyte社に送られました。3Dフライス盤の助けを借りて、より多くのボリュームが必要な場合、繰り返しまたはスケールアップできる、費用効果の高い1回限りの部品を作成できます。

製造された部品はレースカーに取り付けられており、ジョンさんはすでに違いに気づき始めました:「変更が始まって以来、直線速度とコーナリング速度が向上しています。多数の割り込みボード設計の反復を作成しましたが、それぞれがパフォーマンスの改善を示しています。シミュレーションの結果は、パフォーマンスの向上に有望であることを示しています。」

 

F3に取り付けられたジョンさんが設計したバージボード

大学でArtec 3Dスキャナを使用する理由

ジョンさんの事例が示すように、エンジニアリング、または考古学、デザイン、スポーツ科学などの他の分野におけるプロフェッショナル3Dスキャンの付加価値は、学生にとって非常に有益です。最新のテクノロジーを使用して学ぶことは、学生が将来のキャリアに向けて充分に準備できることを保証し、また計測学、リバースエンジニアリング、遺産保存などの分野では、彼らがその分野を先導していくことになるでしょう。

Artec 3Dの製品ラインは、あらゆるサイズのタスクに対応するスキャナにより、最も正確な3Dスキャンを保証します。Artec 3Dは、人気のある教育パッケージのおかげで、世界中の大学と協力できることを誇りに思っています。学校、大学、研究機関向けに提供されている特別価格は、次世代の専門家にとって絶好の機会と言えるでしょう。なぜなら、プロフェッショナル市場で入手される最先端のツールを実際に体験できるからです。

ウェールズ・トリニティ・セント・デイビッド大学は、3Dスキャンの最初の体験が成功した後、バイクやサイドカーのスキャンなど、さまざまなエンジニアリングプロジェクトでArtec 3D製品を使い続けることに関心を示しています。

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